創業インタビュー連載企画
まちの主人公たち
第3回「Bleriots(ブレリオ) 小妻時計修理店」小妻 優太さん

 

まちのあちこちで、静かに、でも確かな情熱をもって動き出している人たちがいます。
こだわりのつまったお店、店主のセンスが光るお店、笑顔があふれるお店――すべてのお店に、創業までのドラマがあります。

本企画では、まちなか近隣でお店を構える個人事業主の方々にインタビューを実施。
「どうしてこの道を選んだの?」「一歩目を踏み出したきっかけは?」
リアルな声とともに、起業という挑戦の裏側を覗いてみませんか。

 

都城市オーバルパティオ内に工房を構える時計修理店「Bleriots(ブレリオ) 小妻時計修理店」。
地元での持ち込み修理から海外市場までを支えるその手腕の裏には、並々ならぬ覚悟と孤独な闘いがありました。

今回は、小妻さんのこれまでの歩みと、時計修理の未来にかける想いを伺いました。

 

時計修理という仕事と事業のかたち

事業の概要について教えてください。

 時計修理業を行っており、主に業者からの修理が中心です。東京・福岡・大阪の業者からお仕事をいただいていて、売上の9割以上はそのルートです。
残り1割は地元の方の持ち込みに対応しています。修理の持っていき場がない方が最後の駆け込み寺のように来られるイメージですね。

持ち込み修理では、どのような状態の時計が多いですか?

ほとんどが「もう動かなくなった」という状態です。予防的に来られる方はまずいません。動かなくなったものを「なんとかしてほしい」という持ち込みが多いです。
そこから必要に応じてオーバーホール(分解修理)をご提案し、お客様と相談して進めていきます。

修理の料金はどのように設定されていますか?

修理費用はおそらく時計店の中では高い方だと思います。ですが、他所(よそ)で無理だと言われた方にこそ、来てもらいたいという思いでやっています。
見積もりは無料、キャンセル料もいただきません。まずは気軽に相談していただくところから始まります。

9割を占める業者向けの仕事ですが、具体的にはどのようなものでしょうか?

上海や香港、アジアで入ってきた時計を修理しています。アジアには大きなマーケットがあり、バイヤーが現地で買い付けたものを私が修理するという感じです。
アメリカへの販売にもつながっており、海外全体の流れの中で仕事をしています。
あまり実感はないのですが、何億、何十億というお金が動くような大きなマーケットの中で私も働かせてもらっています。

月にかなりの数の時計を扱っていると伺いました。

だいたい月に100本を取り扱っています。オーバーホールが100本で、軽微なものは数に入れていません。
オーバーホールは、時計を分解し、清掃し、悪いパーツがあれば交換する作業です。

時計修理の道を進む理由

創業前の経歴について教えてください。

高校卒業後は地元の建材屋で働いていました。その後上京し、時計修理工房で修理の仕事をして、そこから独立しました。

なぜ時計修理の道を選ばれたのですか?好きだったからでしょうか?

時計に興味はありましたが、 好きではなかったです。
大学にも行っておらず、当時は人との競争にも勝てないと思っていました。手に職をつけ競争相手が少ない世界で勝負しようと思い、時計修理の仕事を選びました。

 

起業の経緯とメッセージ

起業したきっかけを教えてください。

成長の限界を感じたからです。当時30歳くらいで「これ以上、(今のキャリアのまま)上に行くのは難しい」と感じていました。
悩むくらいなら動こうと思い、在職中に見積もりを取ったり、銀行に融資の相談にいったり活動をはじめました。

起業後、一番苦労したことはどんなことでしたか?

『鼻で笑われる覚悟』を常に求められることですね。「アナログな仕事はもう終わってる」「田舎じゃ無理」と言われ続けてきました。
自分の人生を懸けているものを軽く見られるのは本当に悔しいです。
相談する人もいませんし、友人は良きライバルであり弱みを見せたくないので、覚悟を持って1人で耐えて前に進むしかないと思っています。

苦しい状況でも、今の仕事を続けられた理由はありますか?

最近分かったことですが、空間を認識する能力やパズル、間違い探しを得意とする動作性IQが130あるようです。
これには、診断してくれた医者も、「潜在的な能力が非常に高い」と驚いていました。ずっと自分の能力を活かせる職があるなら、それで勝負したいと思ってました。
たまたま自分の能力を活かせる職種だったことが大きな理由だと思います。
また、『(いまの仕事が)好きじゃないからこそ、依存しすぎない』という点も続けられた理由の一つかもしれません。

逆に、起業して嬉しかったことは?

『一歩踏み出せた』と感じたとき嬉しく感じます。実家で始めた仕事を1年目で現在の場所に移し、家賃を払う決断ができた時はうれしかったですね。
考えるだけでなく、実際に行動できた時は達成感があります。
(誰かに)相談すれば止められてしまうようなことも、誰にも言わずに動いて『後に引けない状況』を作るのが自分のスタイルです。

最後に、起業を考えている方へ伝えたいことはありますか?

 とにかく「続けること」です。『1万時間の法則』と言われますが、まさにその通りだと思います。私は睡眠をせず通しで40時間働いていたような時期もあります。
技術が身につけば、お金は後からついてきます。人と違う景色が見たいなら、集中してやりきること。
その姿勢が信頼になり、『あの人に頼めばいい』と思ってもらえるようになります。店の名前は忘れられても、『あそこに詳しい人がいる』と言われるまでやる。それがすべてです。

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得意なことを武器に、一人で限界まで挑戦を続ける小妻さん。時計修理という世界の中で、自らの可能性を押し広げる姿に、静かな力強さを感じました。
大切な時計の修理でお悩みの方は、ぜひブレリオさんに相談してみてはいかがでしょうか。

 


店舗情報

■ Bleriot’s(ブレリオ)

■ 営業時間
 11:00~16:00

■ 店舗場所
 宮崎県都城市中町13-10-2(オーバルパティオ内)

公式インスタグラムはこちら

 

Bleriots(ブレリオ) 小妻時計修理店