今回のゲストは日本茶専門店shop&cafe 日向時間 坂元 寛之 さん。

都城市南鷹尾に店舗を構える「日本茶専門店shop&cafe 日向時間」では、店主セレクトのお茶や茶器・関連雑貨を豊富に取り扱っており、日本茶とともに和菓子を楽しめるカフェも人気という。お店でお客様をおもてなしするだけでなく「お茶を作る人、道具を作る人、お茶を淹れる人」といったお茶に関わる人たちとの活動を通して、お茶の魅力を知ってもらえる機会を増やしていきたいと語る「坂元 寛之さん」にお話を伺いました。

さかもと ひろゆき / Hiroyuki Sakamoto
日本茶専門店shop&cafe 日向時間 代表。うつわ時間実行委員会 実行委員長。都城市出身。「お茶を通した、豊かな時間を」コンセプトに日本茶の魅力を伝える活動やイベントを企画するなど幅広く活動する。お茶のいいところは、どんなシーンにも関われる脇役でもあるという。お茶本来の魅力である癒し、ゆっくりできる時間の大切さを日々発信している。

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現在の仕事に就いたきっかけと店名の由来

――現在の仕事に就いたきっかけを教えてください。

私が小さい頃から両親ともに自宅でお茶の仕事をしていましたので、日頃から身近に感じていました。その当時、両親が働く仕事場(自宅)は都城の中心市街地にあって、そこで近所の友達とも遊んでいましたので、小学生の頃の思い出の場所として、まちなかの景色が印象に残っています。

それから、両親が経営するお店が三股町に移転することになり、中学、高校と学生時代を過ごしましたが、家業を継ぐということをあまり意識することはありませんでした。

今思えば、自分で選んだ道で進んでほしかったんだと思います。高校卒業後は「一度外に出て、いろんな人に出会い学びたい」という思いもあり、大阪の大学に進学しました。それから大学卒業後は東京で就職し、建築資材商社で働きました。

東京で働くうちに20代も気づけば後半に差し掛かっていました。その頃に体調を崩したことも重なり、仕事を辞めて都城へ戻ってきました。振り返ってみるとこれがお茶の仕事に携わる転機になったと思います。

その先の人生をどう過ごすのか、療養しながら、両親が三股町で経営するお店を手伝い始めました。それから約10年間、両親が積み上げてきたお茶の仕事を経験させてもらい、今では独立して自分のお店を経営しています。

 

――お店の名前の由来を教えてください。

店名の「日向時間(ひゅうがじかん)」は、宮崎ののんびりとした県民性を表す言葉です。本来は「時間にルーズ」といったネガティブな表現で使われる言葉ですが、忙しい日々の中で、また混沌とした世の中で、少しはそんな時間もあったらいいなと思い、名前の由来としています。

手間をかけるゆとりがあり、そこから生まれる、癒しや楽しみ。お茶は私たちの身近にあって、ささやかな豊かさをがあることを教えてくれます。

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お茶の魅力を伝え、表現すること

――仕事で印象に残っているエピソードを教えてください。

本格的に都城でお茶の仕事に関わるようになった頃から、お茶業界ではお茶が売れない、お茶が飲まれないと言われており、危機感を持っていました。そこで、自分の働いている店舗で待っているだけでなく、県内外の物産展やイベント等に出店する機会を増やしました。イベントでの対面販売を通して、お客様に覚えてもらう機会に少しずつ手応えを感じる中で、大学時代に経験したことが大きく影響していることに気づきました。

大学時代に力を入れたのは、学内のイベントを企画するグループでの活動でダンスパーティーなどを企画運営したり、時には司会役を務める機会もあり、人が集まりワクワクするイベントの醍醐味を味わうことができました。そういったグループでの活動を通して人との関わり方の基礎を学ぶことができ、自分自身を客観的に見る機会になったと思います。

大学時代の経験を活かして、自分の言葉でお茶の魅力を伝えることができているのだろうと実感しています。特に対面販売では自分の表現一つで、その日の売り上げにもなりますし、目の前のお客様に満足してもらうため、日々、表現の仕方を工夫することが大事だと思います。

 

――これまでお茶を通してどんなイベントを企画してきましたか?

一見、イベントの仕事はお茶の仕事とはかけ離れているように思えますが、お茶という伝統ある業界だからこそ新しい風を吹き込めたら面白いのではないかと考え、企画に取り組んでいます。そして、自分にできる仕事で都城圏域で活躍する人たちと一緒になって、何かを表現したいという想いがイベントだったのだと思います。

Mallmallでも多くのイベントを開催してきましたが、振り返ってみると、芽吹きマルシェ(5月)、まちなか十五夜(9月)、うつわ時間(9月・2月)など恒例となったイベントでは、お茶業界の人脈だけではなく、異業種の知り合いの方にも出店いただいており、これからも新しいことを仕掛けてみようと準備を進めています。

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伝統を受け継ぎながらも、新たな文化を取り入れ挑戦する

――これからどのような活動に力を入れていきたいですか?

お茶は健康にもいいですし、自分に合ったお茶に巡り合えば本当の美味しさを実感できます。なんとなく面倒だなぁと思って、お茶をさけている方にとって飲みたいと思えるような提案をしていきたいなと考えています。

その一つの取り組みとして、日向時間ではカフェの時間帯を提供しています。そこでお客様との交流の時間を通して、お茶の新しい魅力や可能性を広げられたらと思っています。

もう一つはイベントを企画し、活動を続けることによって、茶葉を育てていただいている農家さんや業界にも希望を与え続けたいと思っています。お客様の期待の先をいくにはどうすればいいかイベントを通して、もっともっとお茶を表現していきたいと思います。

 

――最後に、都城での今後イベント情報を教えてください。

2024年2月23日(金・祝)から25日(日)にかけて「うつわ時間」というイベントを開催します。宮崎県陶芸協会さんから協力いただき、今回で3回目の開催となります。約20窯元の展示販売と器を通した豊かな時間を味わうイベントになっていますが、期間中はマルシェに加え、絵付け体験などの様々なワークショップもお楽しみいただけます。

また、日替わりのうつわランチ&カフェ(事前予約必要)もおすすめです。最後になりますが、イベント会場内にて「春の都城茶とお菓子に合う器コンテスト」も開催しています。投票者の中から抽選でプレゼントもありますので、たくさんのご参加をお待ちしています!

――坂元さん、ありがとうございました!

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※本記事について、時間の経過による変化があることをご了承ください。

うつわ時間は、2024年2月23日~25日 10:00~17:00(最終日は16:00)に、まちなか広場にて開催します。

【2024年2月】うつわ時間

日本茶専門店shop&cafe 日向時間